優しくて繊細な、あらゆる世代の日本人に向けて
―海外での活動も多いto R mansionさん。印象に残っていることはありますか?
アフリカのコートジボワールでサーカスのフェスティバルに呼ばれたときのことです。まずワークショップで学校に行ったんですが、子どもたちは、私たちの存在そのものに対して「これが日本人なんだ!初めて見た!」と驚いていたのが印象的でした。あと、お客さんの笑いどころが違うんです。
―例えば?
アフリカの人達はすごくジェントルで、男性が女性に対してツッコミを入れることに対して、「押してる!叩いてる!」と感じるようで。力に対してのリアクションが大きいんです。なので、私たちも、現地に入ってからツッコミの手法を変えました。歴史的背景や国の文化によって、日本では普通でも、アフリカでは暴力的にみえてしまうんだと思います。笑えること、面白いことというのは、地域的で社会的なことなんだと実感しましたね。
―ヨーロッパはどうですか?
ラテン系のスペインやイタリアは、喜び方がすごく上手で、「楽しんでる!」というのを、身体で、声で、表情で伝えてくるんです。両手をあげ、身体を揺らして(笑)
―そういう意味では、日本人はシャイですか?
繊細だと思います。とても優しくて。食べ物の種類も多いし、四季の移り変わりもあるし。情緒を説明する言葉がたくさんあるから、伝えることには長けているんじゃないかなと感じます。
―今回の「にんぎょひめ」は、言葉と身体表現のバランスだったり、登場人物たちが抱える気持ちの面など、日本人ならではの繊細な感覚で作られた作品だといえますね。
はい。まさに!この作品は、あらゆる世代の日本人に向けて作った作品です。
© Chiye NAMEGAI
美しさの多様性、たくさんのマジック!
―なるほど。この「にんぎょひめ」という作品には、下半身が魚の人魚姫と、上半身が魚の人魚姫が双子の姉妹として登場します。
原作の「美しい」「醜い」というテーマをもとに、全年代の人が楽しめて、感動できる、コメディにもなる作品を作りました。例えば、上半身が魚の人魚姫のお姉ちゃんは、一般的な「美しさ」ではないけれど、愛嬌や一生懸命さといった美しさがあると思います。日本人は特に、メディアが作り上げた「美しいもの」に 影響を受けがちですが、実はもっと多くの感じ方があってもいいと思います。人間の「美しさ」は、それぞれが生きていく中で、感じていくもの、作り上げていくものなのだと感じてもらえればうれしいです。
© Shinsuke Kotani
―原作の「人魚姫」のイメージと変わらず、でもオリジナルの脚本で、大人も子どもも楽しめてすごくいいなぁと思いました。そして、とても美しい舞台の仕掛けがいっぱいあるんですが、舞台はどのように作られたのですか?
脚本を元に、なるべく言葉に頼らない方法を模索しながら、キャスト全員でシーンを作っていきます。今回の作品では、稽古場に照明を吊って、明かりづくりも考えながら可能性を一緒に試していきました。光と闇で舞台上に照明でカーテンを引くような「テアトル・ノワール」というフランスの演出手法を取り入れているんです。
―まるで舞台全体が魔法にかかったような演出がすごく魅力的ですね。
舞台上の闇の空間の中に、お客さんからは見えない沢山の人と物が動いています(笑)。この闇の部分がマジックの成功に大きくかかわってきます。稽古で時間がかかるのが、この部分で、大勢のメンバーでマジックを成功させるためにはどうしたらいいだろう、と試行錯誤しながら作ったので時間がかかりました。
© Chiye NAMEGAI
他の人の気持ちを知る、
それが劇場の素晴らしいとろ
―今回の公演は、たくさんの子どもたち、とりわけ0歳から入場できるようにしていますが、その“こだわり”を教えてください。
すべての人が楽しめる舞台でありたい。逆に、「この人は入れません」としたくなかったんです。赤ちゃんが泣いても劇場では優しい気持ちで、皆で楽しい時間にしましょうって、上演前に私たちから呼びかけをして、お客様にもご理解いただいて上演しています。上演前には、劇場の中が暗いとか、怖いと思ってしまうお子さんに対して、リラックスしてもらう時間も設けています。はじめて劇場に来るお子さんにも、びっくりするようなことがいっぱいあるよ。それって劇場ならではの楽しさなんだよとお声がけいただければと思います。
―上演中の子どもの声もスパイスですね。
お子さんたちが、思ったことを途中で声に出して言ってくれます。人と一緒に観るということが、作品を体験する時間をより豊かにするし、他の人の気持ちを知ることにもつながります。それが観劇の素晴らしいところだと思います。“生の絵本”を観るような気持ちで、お出かけください。
―最後に、メッセージをお願いします。
「にんぎょひめ」は世界中で活躍する様々なジャンルのアーティストが集まって、すべての世代の人間たちに贈る、とっておきのファンタジーです。劇場で皆一緒に笑ったり驚いたり、時に心キュッとなったり、声をだして楽しい時間を過ごしましょう!
© Chiye NAMEGAI
こんにちは。to R mansionです。
5月はおうちで長く過ごされていた方が多くいらっしゃるかと思います。 運動不足がちょっと心配?
それじゃあ、心とカラダを踊らせて、to R mansionと一緒にダンス体操しませんか?「いちねんかんダンス体操」を創りました。歌って踊っているうちに、あらあら不思議!心とカラダは爽快に。 そしていつの間にやら和暦の月名を覚えてる?!(注)個人差があります。
子どもから大人まで、みんなみんな、普段着のままレッツゴー!座ったままでもできるダンス体操。映像には不思議なことが時々おこります。是非是非探してみてくださいね。
「いちねんかんダンス体操」
他にも2作品動画を創りました!こちらもお楽しみ下さい。
*おうちの中で、想像力で無限の想像の旅に出かけよう!#おうちねま
1. チャラン・ポ・ランタン×to R mansion 「空が晴れたら」
2. あの素晴らしい愛
お客様に会いたい気持ちを込めて創りました。
お会いできる日までどうかみなさまお元気でお過ごしください。その日を心から楽しみにしています!